●99式艦爆モデリングメモ●

製作を振り返って

本機の製作着手は実は6年以上も前でした。
長いブランクをおいての完成でしたが、その分
途中で資料の再収集や製作工程の見直しなどができ
勉強になるところが多かったです。


 機体解説


 99式艦上爆撃機は帝国海軍初の単葉艦上爆撃機であり、対米戦争劈頭の真珠湾攻撃をはじめ多くの海戦において華々しい戦果を挙げた急降下爆撃を行う機体です。

 水平に飛びながら爆弾を落とすのと違って、目標に向かって突っ込んでいきながら爆撃を行うため命中率が高い一方で、敵弾にさらされる状況が長く続くため損害が大きいのも特徴であり、その過酷な運用とそれに臨む乗員のクソ度胸は、艦上戦闘機と並びもう一方の海軍航空の花形といえるものでありました。

 しかしながら、今回制作したのは99艦爆でも後期の22型であります。22型は、本来であれば彗星にその座を譲ってしかるべきであった99艦爆を、彗星の実用化の遅れを受けて改設計を施し能力を向上してその延命を計ったものであります。結果として彗星は全面的に99艦爆に取って代わる事は無く、22型は終戦の昭和20年まで生産され続けました。

22型が登場した頃には既に昔日の栄光の日々は遠く、固定脚の古めかしい設計は戦況の悪化に抗しきれず、99艦爆ならぬ99棺桶と呼ばれる事もあったと言われ、特攻にも多く使用される事となりました。



 アイテム選択

 説明した通り、99艦爆と言えば真珠湾攻撃等で殊勲を上げた11型が好まれるところであり、99棺桶の異名をとる22型は普通作らないだろうと、飛行機通の方は思われることでしょう。

そもそものアイテム選択の始まりは、彗星に続いて艦爆であり、以前いた職場の所在地がその昔は海軍飛行場で、そこに展開していた部隊が使用していたからという理由によるものでした。 

 またひとつの理由として、「どうせメジャーな機体はプロが仕事でつくるじゃん」というさめた見方があるのも事実です。


 製作の困難

 マイナーな機体というのはうるさ型の突込みが少ないという気楽な部分があるのですが、一方で「資料がそもそも無い」という苦しい部分があるのも事実です。実際に今回の製作でもこの点は大変苦しく、かつ勉強になりました。

作り始めのときの資料は実は文林堂の世界の傑作機1冊のみでした。これの図面を頼りに作り始めたのですが、これがそもそもの失敗の始まりだったのです。

 まず大前提の話になるのですが、99艦爆と言う機体は11型と22型でかなり機体形状が異なり、完全な共通性を持っているのは脚やダイブブレーキ位のものであるという点があります。

それがなぜ問題になるのかというと、1冊の本のうち、実質は「半分」の分量しか資料がないということになるのです。加えて秘密主義の徹底していた海軍機の、それも大戦後半の敗色濃厚時期の機体とあっては、良質な資料を望むのがおかしいというものなのでした。

 さらに加えて、主資料にしたのが世界の傑作機というのがまずかった!

 このシリーズは日本で唯一の定期刊行航空機モノグラフ(一冊で1機種について触れている本)であり、貴重なのですが、一貫した編集方針が存在せず質のばらつきが激しいという大きな欠点を抱えているのです。

そして99艦爆の号は「はずれ」に近いものでした。



 問題点

 この事に気づいたのは機体形状を煮つめる作業に入ったときでした。

 それまでは同誌掲載の側面図や平面図に従って形を出していたのですが、検証のため斜めからとらえた実機写真を背景に取り込んで、3Dソフトのカメラ機能をその写真に合わせて調整していったところ、明らかに胴体の高さが足りないことに気づいたのです。

 「やられた!」  その時点で22型の精密な図面に心当たりが無かったので、航空情報の松葉稔さんの11型の図面と合わせてみるとやっぱり足りない!

 22型は視界確保のため風防を少し高く改設計しているのですが、この世界の傑作機の図面では、その分胴体を低くしていることが判明しました。

 というわけで胴体を作り直しすることとなったのです。

 そのほかに、これは私のミスですが、図面を取り込む際に機軸をきちんと水平に出さなかったために後々まで各パーツを微妙に回転させたりする作業を続けなければならなくなりました。

 その後しばしのブランクの後、光文社の丸メカの資料の存在に気づきこちらも併用することとしました。こちらには22型の精密な図面がありかなり重宝をしました。

 しかし、やはり不明な点が多く、特に、この図面でも「排気管」周りの構成は下面図と側面図で矛盾を生じていることがわかります。

 また、両資料を比べて、世界の傑作機の細部説明図が孫引きであるということがわかってしまいました。

 爆弾投下アームの図は、光文社のものは煩雑で読解を要しますが、きちんと機能するように描かれています。一方の文林堂のものは同様な構成で見やすくまとめられていますが「これじゃ動かない」構成になっていたりします。

 このアームや爆弾押さえについては艦爆の重要なアイテムでありながら、影でつぶれやすい胴体下面にあり写真にまったくと言っていいほど写っていない、かつ11型と22型でまったく構成が違うといった点、さらにはこの強度を要する部品がいったいどこに結合されているのかなど、不明な点ばかりで作業を中断させる大きな原因となりました。




 問題点の2

 いまひとつの難関は胴体の細部形状です。

 特に後方機銃を納める後部風防につながる胴体形状は急な絞込みや独特のまくれ上がりといった形状作成の面と、風防側の形状から発生する避けられない「段差」をどのように受け止めるのかといった「解釈」の面でとても悩みました。最終的にうまくまとめられたと思います。

 本機の風防類は疑問になるところがあり、後席の天蓋が2段組になっています。この後方部分は前方の天蓋の内側に収納されるようになっているので、前方天蓋が格納されているときは必ず付随しているはずなのに、何枚か後方天蓋のみが単独で残っている写真が見られるのです。作りながら「どうなっとんじゃ?」と思うことしきりでした。

 また、胴体下面と翼の面のつながりは明確にわかる図面や写真が無く、シルエットや機体構造などから設計を類推して決定するなどせざるを得ず、最後の最後まで悩むこととなりました。





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